【シリーズ:病院長の植物園(第11回)】イトラッキョウ
2022.11.16
みなさんは「ラッキョウの花」をご存じですか?
11月12日(土曜日)、平戸に出かけました。平戸大橋を渡って30分ほど進むと、お饅頭のような山が見えてきます。
300メーターほどの、どこにでもありそうな低山で、佐志岳というのですが、ここは「イトラッキョウ」の自生地として知られています。
イトラッキョウは世界中でここだけに自生しているというのです。
5年ほど前のこと、山野草を売っている埼玉の店で、うつむいて咲いている薄紫の小さな花を見つけました。
ヤマラッキョウという名前でした。
買い求めて家で洗ってみると根が小さなラッキョウの形をしていました。
小鉢に植えて咲かせた花が最初の写真です。
佐志岳は登山口から頂上が見えているような低い山なのですが、山道がさほど立派ではなくて、それなりに苦労して登りました。
しかし頂上近くへ来て振り返ると、海に島々が点在する、いかにも平戸らしい景観が広がっていて、思わず立ちすくんだほどでした。
イトラッキョウはなかなか姿を現さないので、季節を間違えたかと不安になりかけたころ、頂上近くで群生した花々を見つけました。
みっつ、よっつ、岩に隠れるように寄り添い、そこだけに淡く光のあるような風情で咲いています。
2枚目の写真がそれです。
「ヤマラッキョウ」によく似ているのですが、両者は花びらの開き具合に違いがあるようです。
カレーライスに添えてある普通のラッキョウも、こんな紫色の楚々とした花を咲かせるのでしょうか。
一度は見てみたいものです。
朝方は冷えてきました。
あと一雨で気温はさらに下がって、冬が近づいてくることでしょう。
かたまって寒にそなえる小花かな 杏梅