糖尿病・内分泌内科
■特徴・方針等
長崎県北医療圏における、糖尿病を中心とした代謝性疾患と内分泌疾患の診療拠点の一つを担います。
A.糖尿病・代謝疾患診療の概要
1.糖尿病教育入院
初診患者さん、あるいはコントロール不良な再診患者さんに糖尿病教育入院を勧めています。11日間のプログラムの中で、糖尿病の病型分類、インスリン依存度の評価、皮下連続式グルコース測定による血糖変動、糖尿病関連合併症の評価を行います。糖尿病のない人と変わらないQOLの獲得を目標に、糖尿病ケアスタッフによるカンファランスと患者さんとの対話を通じて、患者さん中心の治療方針を決定します。必要に応じてそれまでの治療内容の見直しも行います。特に1型糖尿病の場合はインスリンポンプ導入、リアルタイムCGM導入、カーボカウント(基礎・応用)の指導を行います。
2.在宅自己注射導入外来
仕事や家庭の事情で糖尿病教育入院が困難な患者さんのために、在宅自己注射導入外来を開設しています(2015年7月開設)。血糖自己測定を数日間行っていただき、その値をもとに、注射療法(インスリン、GLP-1受容体作働薬)を外来で導入します。後に状況が許せば糖尿病教育入院を行い、必要な評価や治療方針の設定などを行います。
3.他科病棟血糖管理
他診療科入院中の糖尿病合併患者さんに対しては、手術・化学療法・出産が円滑に進むように、他診療科と連携をとりながら状況に応じた適切な血糖管理を行っています。
4.術前の減量目的入院
高度肥満症(BMI 35 kg/m2以上)の患者さんに対して、外科的手術のリスク軽減目的に6週間の減量プログラムを実施しています。概ね8-12 kgの減量が期待でき、円滑な手術に役立たせています。リバウンド予防目的として、食行動質問票による食習慣のくせやズレの評価、グラフ化体重日記による日常生活のふり返りを行っています。
5.家族性高コレステロール血症やスタチン不耐の脂質異常症
従来の治療方法では管理目標に達しない場合、患者さんに十分な説明を行ったうえで、抗PCSK9抗体を用いた治療を行っています。
B.内分泌診療の概要
1.下垂体疾患、甲状腺疾患、副甲状腺疾患、副腎疾患、性腺機能異常の確定診断および治療方針決定を行っています。外科的治療が必要な場合は他科と連携をとっています。
2.内分泌疾患緊急症(甲状腺クリーゼ、副腎クリーゼ、褐色細胞腫クリーゼなど)、粘液水腫、副腎不全の診断と治療を行っています。
■取り扱う主な疾患
・糖尿病(1型、2型、その他)、妊娠糖尿病
・糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、高浸透圧性高血糖症候群(HHS)
・低血糖性昏睡、反応性低血糖、インスリノーマ
・糖尿病症例のシックデイ
・下垂体前葉機能低下症、尿崩症、先端肥大症、プロラクチノーマ
・バセドウ病、甲状腺クリーゼ、甲状腺眼症、慢性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎
・甲状腺腫瘍、プランマー病
・原発性副甲状腺機能亢進症・低下症、多発性内分泌腫瘍症(MEN1、MEN2)
・副腎皮質機能低下症、副腎クリーゼ
・原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫
・家族性高コレステロール血症、スタチン不耐の脂質異常症
■主な診断・治療法
・食事負荷試験,グルカゴン負荷試験,その他糖尿病関連検査
・インスリン療法(BOT,MDI)
・インクレチン療法(GLP-1受容体作働薬,GIP/GLP-1受容体作働薬)
・CSII(インスリンポンプ療法,SAP療法)
・連続式グルコース測定システム(rtCGM,isCGM)
・各種内分泌学的負荷試験(三者負荷,低血糖誘発,GHRP-2負荷,高張食塩水負荷,絶食試験など)
・ホルモン補充療法,ステロイドパルス療法
・抗PCSK9抗体療法
■実績
<診療実績> 令和4年度
糖尿病・ 代謝性疾患 |
内分泌・他 | |
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初診(件) | 600 | |
再診(件) | 8,000 | |
入院(件) | 160 | 40 |
他科病棟血糖管理(件) | 1,300 | ー |
在宅自己注射導入外来(件) | 40 | ー |
isCGM、rtCGM(患者数) | 30 | ー |
SAP療法(患者数) | 15 | ー |